ここではMT4(FX自動売買ソフト)の検証時における過剰最適化(オーバーフィッティング)について解説していきます。
EA(Expert Advisor)の検証における過剰最適化とは、取引アルゴリズムが過去のデータに対して過度に調整されてしまい、将来の実際の市場環境では良いパフォーマンスを発揮できなくなる現象です。FX(外国為替取引)や株式取引などの自動売買システム開発で特に重要な問題です。
EA検証でのオーバーフィッティングの仕組み
FXの自動売買プログラム(EA)の作成および検証時におけるオーバーフィッティングが生まれる過程。
- バックテスト: 2020年から2023年までの過去のチャートデータだけを使って、EAのパラメータ(移動平均線の期間やエントリー条件など)を調整する。
- 過剰最適化の落とし穴: パラメータを調整し続けると、「2020-2023年のチャートデータだけに対して」非常に高い利益を出すシステムができあがります。
- 実際の運用: しかし、このEAを2024年の実際の市場で運用すると、全く利益が出ないか、むしろ損失を出してしまいます。
これが過剰最適化が生まれるザックリした過程です。過去データの「偶然の特性」や「ノイズ」までを学習してしまい、市場の本質的なパターンを捉えられていないのです。
具体例
例えばあるFX取引のEAで、以下のようなパラメータを最適化したとします:
- 短期移動平均線:5日、7日、9日…
- 長期移動平均線:20日、25日、30日…
- RSI期間:9日、14日、21日…
- 利確幅:10pips、15pips、20pips…
- 損切り幅:5pips、10pips、15pips…
これらの組み合わせは数千通りになります。全組み合わせをテストして「最も利益の高かった設定」を選ぶと、それは「たまたま過去のその期間だけで上手くいった」特殊な設定かもしれません。
それが過剰最適化であるかどうかを調べ、それを防止するためにはいくつかの方法があります。
防止方法
- アウトオブサンプルテスト: データを「最適化用」と「検証用」に分け、最適化に使わなかったデータでもパフォーマンスが良いか確認する
- フォワードテスト: デモ口座などで実際の市場環境でリアルタイムテストを行う
- パラメータ感度分析: パラメータが少し変わるだけで結果が大きく変わるなら、それは過剰最適化のサイン
- 単純な戦略設計: パラメータが少なく、市場の基本的な原理に基づいたシンプルな戦略を目指す
- 複数の市場条件でのテスト: 上昇トレンド、下降トレンド、レンジ相場など様々な市場環境でテスト
EA開発では「バックテストで素晴らしい結果」より「様々な市場環境で安定して機能する堅牢なシステム」を目指すことが重要です。過剰最適化されたEAは実際の運用で失敗するリスクが高いことを常に意識しましょう。